江原啓之を教員に迎える旭川大学の「見識」

 放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会が、「スピリチュアルカウンセラー」江原啓之氏を使ったフジテレビの番組に対し、放送倫理に反するとの意見を付した件。
 かねがね反科学的な「霊能力」だの「占い」だのを無批判に放送するテレビの在り方に強い疑問をもっていた者としては、ようやくBPOが重い腰を上げたことに安堵している。BPOは最近、長らく黙殺してきた光市母子殺害事件の被告弁護団へのバッシング報道について調査・検証を行うことを決定するなど、にわかに活性化しており、今回の明確な処断もその線上にあるのだろう。政府にメディア規制の口実を与えないためにも、ぜひ業界の「自浄能力」を示してもらいたい。

 ところで今回問題になっている江原啓之氏について、私は聞き捨てならない情報を耳にした。
 昨年12月28日に北海道文化放送(UHB)が「江原啓之4時間決死のギリギリスペシャル のりゆき驚ガク未来はどっち!?」という年末特番を北海道ローカルで放送したのだが、番組の司会者と江原氏のやりとりの中で、江原氏が2008年春から旭川大学の教員になるという話が出たのである。
 私はその時集中してテレビをきちんと観ていたわけではなく、作業中に音声が耳に入ってきていた程度で、講演か何かの聞き間違いだろうと思って特に気にしなかった。
 ところが年明けの1月17日にも、同じテレビ局の同じ司会者の番組「のりゆきのトークDE北海道」に江原氏が出演し、そこでもその話が出たという。こちらの番組は全く観ていないが、聞くところによると、やはり今年4月から旭川大学の看護学科の講師に着任するという。

 旭川大学のホームページによれば、2008年度から保健福祉学部が新設され、その中に保健看護学科が確かにある。ホームページにはカリキュラムは載っているが、教員の氏名はまだ載っていないので、残念ながら江原氏の正確な職は不明だが(売れっ子の彼の立場を考えると専任教員ではなく、客員教員か非常勤講師だろう)、テレビで堂々と公言している以上、講義を受け持ち教壇に立つのは間違いないようだ。
 江原氏の公表されているプロフィールによれば、彼は國學院大学の神道専修の出身で、神社の神職の経験があり、また武蔵野音楽大学の声楽専攻でも学んでいて、バリトンの声楽家としても活動している。しかし、それらは保健師や看護師を育てる保健看護学科で教授できるような学識経験ではない(公表されているカリキュラムにも「神道」「声楽」に相応するものはない)。
 となると旭川大学は、江原氏に「スピリチュアルカウンセリング」を看護科で教授させようとしていると考えざるをえない。臨床心理学や精神医学とは明らかに異質の非学問的な思考様式を下敷きにしつつも、表面上は平凡な「人生相談」の域を出ない江原氏の「カウンセリング」は、とてもではないがまともな大学で教えるような代物ではない。大学の見識を疑うほかない。

 今回BPOはフジテレビに対し、「民放連の放送基準は、占いや運勢判断、霊視など、科学的根拠に乏しい題材の取扱には、慎重な姿勢を求めている。今回のように、本人が進んでそれを望んでいないケースでは、なおさら霊視などの題材を番組に取り入れることには慎重であるべきである。まして、“おもしろさ”を求めて、スピリチュアルカウンセリングを喧伝するかのような構成・演出は避けられて然るべきである」(太字は引用者による)という意見を出したが、これはそのまま旭川大学にも言える。江原氏のようないかがわしい人物を教壇に立たせるのは、それが単に学生集めの「人寄せパンダ」だとしても、学問に対する冒涜であり、高等教育においても決して許されるものではない。
 旭川大学には今からでも江原氏の起用を何とか再考してもらいたい。

【関連リンク】
BPO/放送倫理・番組向上機構
FNS27時間テレビ「ハッピー筋斗雲」に関する意見-放送倫理検証委員会
UHB北海道文化放送
旭川大学
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by mahounofuefuki | 2008-01-22 22:26


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