教科書調査官の系譜~「さるのつぶやき」より

 今年度発行の高校用日本史教科書の検定で、沖縄戦での住民「集団自決」に対する「軍の強制」の記述を文部科学省が改変させた問題は、周知の通り、昨年末の教科用図書検定調査審議会が「軍の関与」の記述の復活は認めたものの、「軍の強制」の記述を結局認めずに、教科書が発行される結果に終わった。
 その後も沖縄の人々を中心にあくまでも審議会の検定意見撤回を求める動きが続いているが、一方で自民党沖縄県連が沖縄県民大会実行委員会の解散を提起するなど、昨年中は曲がりなりにも超党派でまとまっていた運動は綻びが出てきている。正直、保守派の離反は当初から予想していたので驚きはないが、こうした分断が教科書問題を結局うやむやにしてしまうと思うと非常に憂鬱である。

 ところで、教科書検定において決定的な役割を果たしているのが文部科学省の常勤職員である教科書調査官であることは、昨年の当ブログで何度も指摘してきたが、1月20日付の「しんぶん赤旗 日曜版」が戦後の教科書調査官の人事変遷について報じている。「赤旗」の日曜版は電子版には載らないが、さるのつぶやきさんが当該記事転載している。
 さるのつぶやき:教科書調査官、縁故採用の系譜━平泉澄→村尾次郎→時野谷滋→(伊藤隆→)照沼康孝・村瀬信一(・福地惇)
 詳細はぜひ「さるのつぶやき」さんの記事(過去の「赤旗」の教科書関連の記事を紹介したエントリもリンクされている)を読んでもらいたいが、教科書調査官の系譜をたどると戦前「皇国史観」を主唱した平泉澄に行き着くところに、戦後一貫した人事の偏向は明らかである。問題は「調査官は文科省専任職員=国家公務員なのに採用試験がなく、選考基準を文科省は明らかにしていません」というところで、そんな不透明な選考で任命された人物が教科書内容の決定権を事実上握っているのは「民主主義国家」にあるまじき事態である。

 教科書調査官については、昨年当ブログの記事のコピペがあちこちに出回ってしまったが、子どもと教科書全国ネット21事務局長の俵義文氏が、戦後の検定制度の歴史も踏まえてより正確なレポートを公表しているので、リンクしておく。
 俵のホームページより
  教科書調査官とは何か*PDF
  社会科主任教科書調査官はなぜ解任されたか*PDF
 また、現在の教科書調査官と教科用図書検定調査審議会委員については、昨年10月24日の衆議院文部科学委員会で共産党の石井郁子氏が質疑を行っている。
 第168回国会 文部科学委員会 第2号
 教科書調査官の人選の公正化と透明化については、社会科教科書執筆者懇談会が昨年末の声明で要求している。
 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会|訂正申請の結果についての社会科教科書執筆者懇談会の声明

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【関連リンク】(2008/01/22追記)
高等学校日本史教科書に関する訂正申請について(沖縄戦関係)-文部科学省
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by mahounofuefuki | 2008-01-21 16:51


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