政府によるまやかし~消費税・「思いやり予算」・生活保護・薬害肝炎

 この数日ニュースを読んでいると、政府によるまやかしがあまりにも多くて呆れてしまう。本当はそれぞれ個別の問題についてじっくり読み解きたいところだが、そんな暇はないので、簡単にまとめてコメントする。

 第1に、来年度の与党税制改正大綱。
 社会保障の主要な財源に消費税を充てると明記し、将来の引き上げも示唆した。社会保障費の増大に対応するため、消費税の増税が必要だというのが、政府・与党の一貫した言い分だが、全くのまやかしである。社会保障費を消費税で賄うということは、現在社会保障費に充てている消費税以外の財源を別の用途に回すということである。
 現に自民党の財革研の中間報告では、国家財政を社会保障とそれ以外に分けて、社会保障を消費税で賄うと提言している。これは現在の財源に消費税増税分を上乗せするのではなく、消費税以外の財源を社会保障以外の目的に回すことを意味する。その浮いた財源が公共事業に使われるか、軍事費に使われるか、企業減税に使われるかは不明だが(その財源を巡って権力闘争が始まるだろう)、「社会保障のための消費税増税」の真相は、消費税以外の現用の社会保障財源を分捕り合戦なのである。

 第2に、アメリカへの「思いやり予算」削減。
 日本が負担する在日アメリカ軍の駐留費用「思いやり予算」は3年間で8億円の減額が決まったが、これは成果でも何でもない。当初、日本側は年間1400億円の減額を要求していたこともあるが、むしろ問題は減額分のカネの行方である。
 「思いやり予算」は大枠では防衛関係予算だから、減額分8億円は枠を超えて他の分野に使われることはない。今回、日本側が大幅減額を要求したのも、その減額分でミサイル防衛を賄おうとしたからである。8億円は確実に軍事費に回る。すでに日米の軍事一体化が進んでいる以上、「思いやり予算」が減っても、日本の軍事費が増えるのではたいした違いはない。
 ついでに言うと、政府・与党からは、インド洋での給油活動からの撤退が、「思いやり予算」における日本の交渉力を弱めたという恨み節が出ているが、とんでもない言いがかりだ。アメリカ政府は日本が給油していようがいまいが、要求に手心を加えるような「優しい国」ではない。8億円でも減額に応じたのは、ここでゴネて日本国内の反米感情を高めるのは得策ではないと判断したからで、むしろ給油活動を実際にやめたからこそ、アメリカ側は折れたと言えよう。

 第3に、生活保護給付の引き下げ。
 厚生労働省は当初、生活保護基準を一律で引き下げようとしていたが、批判が相次ぎ、来年度予算で給付の総額を維持する方向転換をした。しかし、これは「引き下げの先送り」でしかない。小泉政権の置き土産である「骨太の方針2006」が毎年2200億円の社会保障費削減を定めている以上、来年度に引き下げを行わなくても、再来年度以降に引き下げが行われる。
 だいたい今回一律引き下げこそ見送ったものの、都市部では引き下げ、地方では引き上げるという小細工を弄している。都市部こそ最低賃金と生活保護の「逆転」が著しく、自立するだけの収入を得られない「ワーキングプア」が多いのに。あえて予言するが、今回都市部をまず引き下げておいて、次回に地方の平均給与が下がったとか何とかと難癖をつけて、地方の給付も引き下げる腹積もりだろう。まったくの子ども騙しだ。

 第4に、薬害肝炎問題。
 政府と製薬会社はなかなか全員の救済に応じないが、この問題については以下の記事を参照。
 薬害C型肝炎:「全員」でも補償可能 原告側分析-毎日新聞(2007/12/13 21:59)
 要するに政府が全員の補償に応じないのは、カネの問題ではなく、単なる面子の問題だということだろう(厚労省は患者リストを倉庫に放置した責任を結局自己免罪した)。

 近年の政府は、とかく論点のすりかえや肝心な事実の隠ぺいによって、大衆を騙そうとしている。もういいかげんにしてほしいものだ。
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by mahounofuefuki | 2007-12-14 16:41


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