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「真珠湾攻撃」より「マレー侵攻」の方が先だ~「12月8日」考

 今日12月8日は、大日本帝国がアメリカ・イギリス・オランダに対する戦争を開始してから66周年の日である。
 1941年12月8日(日本時間、アメリカ時間では7日)、太平洋上の日本海軍がハワイの真珠湾を空爆して戦争が始まった、とされる。この奇襲攻撃により、日本側の日米交渉打ち切り通告が攻撃よりも遅れたこともあって、アメリカの厭戦世論は消えて全面戦争へ発展したことは、よく知られている。今に至るも「真珠湾」はアメリカにとって第2次大戦の最もシンボリックな日であり、他方の日本でも「真珠湾」を巡って、日本の「だまし打ち」の「汚名」を何とかして返上しようと、主に靖国史観や歴史修正主義の信奉者がアメリカがわざと日本に攻撃させたという類の「陰謀論」を書きたてている。

 ところで、私は昔からずっと疑問に思っていた。なぜ、アジア・太平洋戦争は「真珠湾攻撃」によって始まったことになっているのか?
 それというのも、日本海軍の機動部隊がハワイへの第1次攻撃を命じたのは、12月8日午前3時19分(日本時間、以下同じ)だが、同じ日に日本陸軍がイギリス領マレー半島(現在のマレーシア)のコタバルに上陸したのが午前2時15分だからである。つまり、「真珠湾攻撃」より約1時間早く、日本軍はマレー半島への侵攻を開始しているのである。 日本政府はイギリス政府に対して何ら通告を行っていない。「真珠湾」が「だまし打ち」だろうとなかろうと、少なくとも日本はイギリスに対しては完全な一方的奇襲を敢行しているのである。
 ほとんどの歴史書は、その立場にかかわらず、戦争を「真珠湾攻撃」から語り始める。そして12月8日といえば「真珠湾の日」と記憶されている。しかし、時間の順序からいえばマレー半島侵攻から叙述を始めるべきではないのか。この問題について書いている一般向けの本は、管見の限りでは、一橋大学教授の吉田裕氏の近著くらいである。

 この現象は「真珠湾攻撃」を特別視するアメリカの歴史観の影響ではないのか。日本の正当性を言いたて、アメリカの不当性を強調する人々も、こと叙述においてはアメリカの影響を受けて「真珠湾」から書き始めるのは皮肉である。
 アジア・太平洋戦争は「真珠湾」からではなく、「マレー」から始まった。この事実を認識している人がどれほどいるのか心もとない。
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by mahounofuefuki | 2007-12-08 20:14


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