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私も教員免許を取り上げられる

安倍政権が行った数々の悪政のなかで、何が最悪だったかと問われたら、私は「教育再生」と答える。
徹底した競争原理の導入と、教員に対する管理・統制の強化を柱とした改悪は、日本の教育を50年は再起不能にするものであり、その社会的ダメージは計り知れない。
その「教育再生」の目玉のひとつが教員免許更新制である。

医師も弁護士も更新制などないのに、なぜ教員だけに更新制など導入されたのか。
その原因は情報操作を通して、少数の不心得な教員をクローズアップし、あたかも教員全体に問題があるように偽装し、近年の「学力低下」や「いじめ」の責任を教員へ転嫁したからである。ここに郵政や社会保険庁の時と同じ公務員への嫉妬も働いて、教員バッシングが起こった。
その結果、「ダメ教師」排除のためには更新制が必要だという論理が公認されてしまった。

しかし、この机上の思いつきは現場を混乱させている。
以下、河北新報(2007/11/24 09:00)より。
 2009年度に導入される教員免許更新制が、関係者にさまざまな影響を与え始めている。現職教員は10年ごとに長時間の講習を受けなくてはならず、仕事の合間に受講できるかどうか懸念を募らせる。一般の免許保持者も、教職に就いていなければ免許が失効することになり、戸惑いが広がっている。

 仙台市内の小学校に勤める女性教諭(47)は「学校現場の忙しさは増すばかり。講習は義務だと言われても、時間がどこにあるのか、と思ってしまう」と率直に話す。

 改正教員免許法が定めた免許の有効期間は10年。幼稚園から高校までの現職教員に更新の際、大学などが開設する講習を30時間以上受けるよう義務付けた。

 授業のある日の夜間や週末に受講することも可能だが、小中学校の場合、授業や学校行事の準備、部活動指導などに追われ、余裕がないのが実情。

 このため夏季休業での受講が想定されるが、プール指導や県内外での研修会への参加などが重なり、時間は思うように確保できないという。

 女性教諭は「指導力不足など、一部の教師に注目が集まるあまり、全体の資質が疑われている」と残念がる。
(中略)
 一方、免許は取得したが教員の道に進まなかった人は更新講習の対象外。文科省は「取得から10年を経過した場合、免許状は効力停止となる」と説明する。

 中学校国語の免許を持ち、仙台市内の児童館に勤める女性(53)は「一方的な失効は納得できない」と話す。仕事に教員免許は必要ないが、「自分の信用にもつながる。希望者には更新講習の機会を与えるべきだ」と話す。

 高校社会の免許を持つ青葉区の会社員男性(40)も「せっかく教職課程を履修して取得した免許。なぜ、はく奪されなければいけないのか」と憤る。

 県教委は「免許が失効した人が教員を目指す場合は、更新講習を受けることで免許は復活する」と理解を求めている。

 宮教組の佐々木永一委員長は「更新しなければ免許を取り上げる、と国が脅すようでは、教師への信頼がますます失われる」と批判している。
ただでさえ人員不足と教育行政に押しつけられたくだらない事務のせいで過労を強いられているのに(しかも教員には残業手当がない)、さらに余計な講習をさせられるのである。講習を受け入れる大学や、大学が近くにない地域の教員の長期出張の負担を考えると、まったく税金の無駄遣いでしかない。

引用記事中でも指摘しているように、教員免許取得者でも教員ではない者は免許が失効してしまうというのも問題だ。
実は私も教員免許をもっているが、教員ではないので、このままだと後数年で免許を取り上げられる。何の落ち度もないのに、ただ現職の教員でないというだけで、教員免許を失うのはまったく納得できない。

自動車を運転しなくても、自動車免許は失効するようなことはない。弁護士を開業しなくても、弁護士資格を失うことはない。教員でないから教員免許を取り上げるというのはまったく不合理である。

改めて教員免許更新制の廃止を訴えたい。

【関連リンク】
教員免許更新制による更新講習について-文部科学省
by mahounofuefuki | 2007-11-25 17:00


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