「小沢一郎」をめぐる言説

自民・民主両党首会談以降の「大連立」をめぐる騒動は、日増しに情報戦の様相を呈している。
参院選直後の安倍続投劇や今国会冒頭の安倍退陣劇の時もそうだったが、政局が流動化している時のマスコミの報道ほどあてにならないものはなく、虚実不明の情報(というより噂)が飛び交っており、よほどの注意が必要だ。
ましてや今回の連立工作は、読売新聞の渡邉恒雄氏が「首謀者」とも「仲介者」とも言われており、メディアにおける言説はいつも以上にバイアスがかかっていると看做さなければならない(その「ナベツネ黒幕説」自体が何らかの意図をもって流されている可能性が高い)。

一連の騒動について、私の乏しいアンテナで見る限りではあるが、世論の評価はおおよそ2つに分かれている。簡単にいえば、
① 小沢一郎ははめられた。
② 小沢一郎は裏切った。
に大別できる。いずれも小沢氏が「主語」であり、彼の「真意」をどう見るかが評価の分かれ道なのである。

そもそも今回の連立工作を福田首相側が考えたのか、小沢氏側が考えたのか本当のところはわからず(というより両方の要素があるのだろうが)、小沢氏は(彼は昔からそうだが)一切説明をしていないので、誰もが戸惑っているように思われる。そうなると結局、小沢氏個人を信用するか、しないかというレベルの話になる。
その結果、小沢氏(民主党)への政権交代を望む人々は、願望も込めて「与党が野党を分断し、民主党を混乱させるために連立をもちかけた」と考えたがるし、小沢氏に「胡散臭さ」を感じている人々は、「やっぱり小沢は肝心なところで妥協する」と考える。

これは一般の人々だけではなく、識者も同様で、たとえば五十嵐仁の転成仁語は、「福田首相の仕掛けた『罠』に、小沢さんがはまってしまったようです」「この問題の勝者は、大連立構想を断った小沢さんではありません。この問題を持ち出して小沢さんの動揺を誘った福田さんです」と①の立場であり、世に倦む日日は、「小沢一郎の問題は、政治を単なる権力争奪のゲームだと考えているところであり、命を賭けて実現しようとする理念がないことである」「今度の小沢一郎の大連立協議の行動は、明らかに国民に嘘を言って有権者を騙していたことになる」と②の立場である。

ただ①にも②にも共通するのは、今回の騒動が自民党よりも民主党にダメージを与えたという1点である。
小沢氏の代表辞任説や前原誠司氏の「一本釣り」説までが流れ、焦点は民主党の動向に絞られている。客観的に見れば、政権安定のための連立を断られた福田首相に相当なダメージがあるはずだが、さにあらず現状はメディアの情報操作もあって、民主党の方が混乱に陥っているようである。

今後、政局がどうなるか、にわかブロガーの私には何とも言えないが(福田訪米までには何らかの決着があるだろう)、ただ1つ言えるのは、すみやかに衆議院を解散し、総選挙を実施するのが正道である、ということである。

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by mahounofuefuki | 2007-11-04 13:06


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