「新体制」の不気味

福田康夫、小沢一郎両氏による自民・民主両党党首会談で、福田側が自民・民主・公明各党の「大連立」を打診した。
10月30日の1回目の会談前後から、さまざまな憶測が飛び交っていたが、自民党としては政局の安定を望む財界やアメリカ政府に配慮したのだろう。
民主党は2日夜の役員会で連立協議を受け入れない方針を決定したが(朝日新聞 2007/11/02 21:47)、もちろん自民党も拒否されるのは織り込み済みだろう。当面の目的は、野党間(特に民主党と国民新党)を疑心暗鬼にさせて分断し、民主党内を動揺させて小沢氏への不信をあおることにあり、さらに今後の政局で常に「大連立」論を意識させることにある。

現時点では詳細は不明なので、これ以上コメントできないが、1点だけ注意したいのは福田首相の会談後の発言である。
福田氏は記者団のインタビューに対して、民主党との連立について「大連立」という言葉を避け、「新体制」と述べていた(私はテレビで観た)。
彼が意識的に「新体制」という言葉を使ったかどうかわからないが、非常に不吉である。

もともと政界で「新体制」と言えば、1940年に近衛文麿を擁立した政界再編構想を指す。当時、軍部の台頭で発言力を失っていた既成政党の中から、名門華族で宮中や軍部にもパイプがある近衛を立てて新党を作ろうとする動きがあり、これが紆余曲折を経て「新体制」運動となった。この運動は日中戦争に行き詰っていた陸軍の政治工作に利用され、結局「バスに乗り遅れるな」と次々に政党は解散して「新体制」へ加わり、全既成政党を吸収して大政翼賛会が成立したのである。
要するに「新体制」とは、翼賛体制(オール与党体制)が作られる前提状況を意味するのである。

もし福田氏が無意識に言ったのならば、歴史への無知による不見識であるし、逆に意図的に言ったのならば、将来の翼賛体制を予告する非常に危険な発言である。
いずれにせよ、今後「大連立」による安定政権を作れという内外の圧力は強まるだろう。
連携の材料としては、すでに報道されている自衛隊海外派遣の恒久法や、あるいは年金不安を利用した消費税増税などが考えられるが、危険なことには変わりない。
民主党を妥協させないためには、「翼賛許すまじ」という世論を形成できるかどうかが勝負の分かれ目だろう。
[PR]
by mahounofuefuki | 2007-11-02 22:10


<< 沖縄戦の「集団自決」に関する教... 歴史修正主義について >>