郵政民営化後の予想される最悪のシナリオ

民主・社民・国民新の3党が、郵政民営化見直し法案を参議院に共同提出した。
これを機に民主・国民新両党は参院で統一会派を組むことに合意した。
当面、日本郵政などの株式売却の凍結を目指すという。

過去の国鉄や電電公社の民営化の例を挙げるまでもなく、この国では1度決まったことを戻すのは非常に難しい。郵政の場合も公営に復旧するには、内外の圧力をはねのけるだけのエネルギーが必要で、仮に政権交代があっても非常に困難だろう。
ただ、実現性は低くとも、郵政民営化の問題点を浮き彫りにすることにより、2005年の総選挙で小泉政権を支持した有権者に、取り返しのつかないことをしたという反省を促す効果はあろう。それだけでも十分意味がある。

郵政民営化のデメリットについては、最近、森永卓郎さんが興味深いコラムを書いているので、紹介しよう。
構造改革をどう生きるか 第104回 郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ (SAFETY JAPAN)
長文なので、要点のみを摘出し、整理する。

1 政府が主張する郵政民営化のメリットは、次の3点。
① 競争原理の導入、経営の自由化 → 業務分野の拡大、サービスの改善、利便性の向上
② 民営だと法人税・印紙税の納付義務 → 国の税収増大、財政再建に貢献
③ 自由な資金運用 → 郵政から財政投融資への自動的な資金移動なし、特殊法人の合理化
2 政府が主張するメリットを検証。
① 代金引換郵便、払い込み、定額小為替などの手数料値上げ集配局の減少 (郵便物の配達日数が多くかかる)、時間外窓口の閉鎖
② 新たに払う法人税、印紙税の分 → 値上げで埋め合わせる (予測)
③ すでに2001年に財政投融資制度は廃止、政府が財投債を売って、政府がその金を特殊法人に流していた → 責任は郵政公社ではなく政府
3 郵政民営化の中長期的なデメリット (予測)
① 3年以内に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式上場 → 2017年までに完全売却 → 株式の一部は、アメリカ系の金融機関やファンドが購入 → 株主提案権を得て経営に口出し → 「経営のさらなる合理化」要求 → ゆうちょ、かんぽの地方の窓口が消える (最低限の郵便事業だけ)
② 現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金の3分の2以上は、国債(財投債を含む)で運用 → 外資系株主が高金利のアメリカ国債での運用を要求 → アメリカのバブル崩壊 (ドル暴落、米国債暴落) → ゆうちょ、かんぽ破たん
要するに、郵政民営化によって、郵便貯金や簡易保険が、アメリカ経済と「一蓮托生」になる危険性を指摘しているのである。
森永説は「ドルが暴落する可能性は、長期でみれば100%」という予測を前提にしているため、悲観的すぎるという見方もありうるが、いずれにせよ「日本国民」の財産がリスクにさらされることは確かである。

今回の見直し法案が、本当に郵政民営化は正しかったのか各人で考えるきっかけになれば幸いである。
[PR]
by mahounofuefuki | 2007-10-23 20:53


<< 反省しない厚生労働省 寛仁親王は「不良」だった!? >>