家計を圧迫する教育費

国民生活金融公庫総合研究所が、今春「国の教育ローン」を利用した世帯を対象にした「教育費負担の実態調査」(PDF)の結果を発表した。
公開資料の巻頭で「節約や奨学金で重い教育費負担に耐える」と題しているように、現在の日本社会において教育費がいかに家計を圧迫しているかよくわかる調査結果である。

主な事項を摘出しよう。
①1人当たりの入学費用(受験費用や入学金など)は、高校が47.7万円、大学が99.1万円(私立101.1万円、国公立89.6万円)である。このうち国公立大学の場合、入学しなかった私立大学への納付金が16.9万円も占める。
②1人当たりの年間の在学費用(授業料や仕送りや通学費用など)は、高校が100.2万円、大学が149.3万円(私立157.8万円、国公立107.2万円)である。このうち高校の場合、家庭教育費(塾や予備校などの費用)が15.1万円も占める。
③1人当たりの高校入学から大学卒業までにかかる費用は、合計1,045万円(高校348.3万円、大学696.3万円)である。
④世帯の年収に対する在学費用(小学校以上の子ども全員にかかる費用)の割合は、平均33.6%である。年収の低い世帯ほど在学費用の割合が大きく、年収200~400万円の世帯では54.3%に達する。一方、年収が高い世帯ほど在学費用の割合は小さいが、金額は高くなる。
⑤自宅外通学者1人当たりの年間の仕送り額は、平均104.0万円(月額8.7万円)である。
⑥自宅外通学を始めるための費用(アパートの入居にかかる費用など)は、1人当たり平均49.3万円である。これに入学費用を合わせると平均142.3万円になる。
⑦教育費の捻出方法は、回答数の多い順に1)節約2)奨学金3)在学者のアルバイト4)預貯金・保険5)残業・パートなどである。

年収400万円以下の世帯で支出の過半数が教育費というのは異常である。また、自宅からの通学者と自宅外からの通学者の格差が大きすぎる。この国の教育現状が「低所得者」と「地方」に厳しいことがよくわかる。
これでは貧しい親の元に生まれた子どもは高い教育を受けることができず、その子どもは成長しても学歴の不利により就職も不利になり、さらに貧しくなるという悪循環である。まさに「格差と貧困の再生産」である。

こうした実情が表面化すると、必ず「奨学金の充実」という声が出るが、奨学金にしろ教育ローンにしろ借金である。私も大学の時に奨学金を受けたが、現在も毎月支払い続けている。雇用に恵まれなかった「難民世代」にとって奨学金の返済は加重負担である。奨学金という小細工ではなく、高すぎる入学金や授業料を大幅に減額し、国の歳出で補填するべきだ。
そもそも本来教育は完全国庫負担で無償にするのが望ましい。その方が、ゼネコンに利益を誘導するだけの公共事業や「国際貢献」という名の大量殺人に税金を使うより、有能な人材が育つという点で、ずっと「国益」にかなっているのではないか? 子どもは親を選べない。当人にはいかんともできない要因で教育機会が奪われるのは非合理である。まさか貧困家庭に生まれたことまで「自己責任」とは言うまい。
このまま教育格差が広がれば、所得格差・資産格差の拡大と併せて、日本社会の「身分社会」化が進むだろう。それこそ支配階級の狙いかもしれないが・・・。
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by mahounofuefuki | 2007-10-12 09:17


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