厚生労働省が「監督指導による賃金不払残業の是正結果」を発表した。
これは、2006年度に残業代不払いで労働基準監督署が是正を指導した事案のうち、1企業あたり100万円以上の割増賃金を支払った事案の状況である。 是正指導を受けて不払い賃金を支払った企業は1,679件、対象となった労働者は18万2,561人、割増賃金の合計は227億1,485万円である。 1企業平均1,353万円、1人平均12万円になる。 相変わらず「サービス残業」という名の「タダ働き」が横行していることがよくわかる。しかも、この統計は労基に見つかり、是正された例だけだから、実際はもっと多くの企業で残業代が支払われず、是正もされずに闇に葬られていると言ってよい。 業種別では「製造業」と「商業」で不払い企業の数が多く、不払い額では「金融・広告業」が最も多い。ただ官公庁と「畜産・水産業」を除く、全業種で残業代不払いが確認でき、この問題が業種を問わないことを示している。 言うまでもなく労働基準法は、第32条1項で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」、同2項で「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と規定している。 つまり本来残業を禁じているのだが、第36条で労働者側と協定を結べば「労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」とも規定しているため、実質的には労働時間は無規制である(最近は若い労働者の無知に付け込んで就業規則すらない企業があるほど)。 それでも第37条で「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令に定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と定めている。要するに時間外労働には必ず割増賃金を支払わなければならないのだが、すでに指摘したようにまったく守られていない。労働者の多くも泣き寝入りするばかりである。 残業代不払いは明白な違法行為である。 某厚生労働大臣は年金横領の告発には血眼だが、こうした不当労働行為にはまったく無頓着で、そのうえ、残業代ゼロを「家族だんらん」とうそぶいて合法化しようとさえしている。 「年金をネコババした公務員」を「牢屋」に入れるのならば、「給料をネコババした経営者」も「牢屋」に入れてほしいものだ。
by mahounofuefuki
| 2007-10-05 20:42
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